お金・投資・起業

わが投資術 市場は誰に微笑むか

清原達郎氏は日本を代表する投資家の一人であり、長年にわたり市場と向き合ってきた実績を持つ投資のプロフェッショナルです。

本書「わが投資術 市場は誰に微笑むか」は、著者が40年以上の投資経験から導き出した独自の投資哲学と実践方法を詳細に解説した一冊です。

単なる投資テクニックの解説書ではなく、投資家としての心構えから具体的な銘柄選定の方法まで、市場で生き残るために必要な本質的な知恵が詰まっています。

特に「平常心」と「大局観」を重視する著者の投資姿勢は、多くの投資家に影響を与えています。

著:清原達郎
¥1,782 (2025/08/18 19:00時点 | Amazon調べ)

清原流投資の基本姿勢

本書の冒頭で著者は「市場は平常心を持った者にのみ微笑む」という重要な原則を示しています。

清原氏は感情に振り回されない冷静な判断力こそが、長期的な投資成功の鍵だと説きます。

特に初心者が陥りやすい「過度な期待」や「根拠のない恐怖」から脱却する方法について、自身の経験を交えながら解説しています。

著者はこう述べています。「相場には『絶対』がない」。

この一見シンプルな原則が、多くの投資家が見落としている重要な真理です。

相対的な視点で市場を捉え、常に複数の可能性を想定する柔軟な思考が、結果として優れた投資判断につながるのです。

投資の基本姿勢
  • 平常心の維持(感情に左右されない判断)
  • 相対的視点(絶対的な正解を求めない)
  • 大局観(個別の事象に囚われず全体を見る目)

相場の本質と人間心理の関係

本書の白眉ともいえる第2章では、相場の動きと人間心理の密接な関係が詳細に分析されています。

著者は40年以上の投資経験から、「相場は人間心理の集合体」という本質を見抜いています。

特に興味深いのは、著者が提唱する「群集心理の逆を行く」という投資哲学です。

多くの人が強気になったときに慎重になり、多くの人が悲観するときにこそチャンスを見出す姿勢は、ベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットなどの著名投資家の哲学とも共鳴します。

著者はYouTubeのインタビューで「相場の90%は心理で動く」と語っており、この人間心理の理解こそが投資成功の最大の武器になると主張しています。

銘柄選定のための独自分析法

第3章では清原氏独自の銘柄選定方法が紹介されています。

特筆すべきは「清原フィルター」と呼ばれる銘柄スクリーニング手法です。

企業分析 5つの観点
  • 業界内でのポジション(シェア、競争力)
  • 経営者の資質と経営哲学
  • 財務健全性(特に自己資本比率)
  • 将来の成長性(新規事業、海外展開など)
  • 株価の割安度(PER、PBRなど)

著者によれば、この5つの基準をすべて満たす企業は全体の5%未満とのことです。

しかし、そのような厳選された企業に集中投資することで、平均を大きく上回るリターンを得ることが可能だと説いています。

リスク管理と資金配分の極意

第4章ではリスク管理の重要性が強調されています。

著者は「投資で一番大切なのは、負けないことである」という原則を掲げています。

この考え方は、短期的な大きなリターンよりも、長期的な資産の保全と着実な成長を重視する姿勢につながります。

特に注目すべきは、清原氏が提唱する「3・3・3・1」の資金配分法です。

これは総資産を以下のように配分する方法です。

  • 30%:超優良企業への長期投資
  • 30%:業績拡大が期待できる成長株
  • 30%:割安株(バリュー株)
  • 10%:投機的ポジション(高リスク・高リターン)

この配分法によって、市場環境が変化しても一定のリターンを確保できる分散効果が期待できます。

著者は自身のポートフォリオでこの方法を実践し、20年以上にわたり年平均10%以上のリターンを達成しているとのことです。

長期投資家としての心得

第5章では、真の長期投資家になるための心構えが説かれています。

著者は「時間の複利」の威力を強調し、短期的な株価変動に一喜一憂せず、5年、10年という時間軸で投資することの重要性を説きます。

特に印象的なのは、著者の「100年企業」への注目です。

100年以上の歴史を持つ企業は、時代の変化に適応する能力と、本質的な価値を持っていると著者は主張します。

そのような企業への長期投資が、結果的に最も効率的な資産形成につながるという考え方は説得力があります。

長期投資成功のための重要なポイント
  • 「時間」という最大の味方を味方につける
  • 配当再投資による複利効果を最大化する
  • 短期的な株価変動に一喜一憂しない
  • 情報の質と量を適切に管理する
  • 自分自身の投資哲学を持ち、ブレない

本書から学ぶ重要ポイント

本書は単なる投資テクニックの解説ではなく、投資を通じて人生をどう豊かにするかという哲学書としての側面も持っています。

著:清原達郎
¥1,782 (2025/08/18 19:00時点 | Amazon調べ)

清原氏の40年以上にわたる実践から生まれた知恵は、初心者から上級者まであらゆる投資家にとって価値ある指針となるでしょう。

相場の世界で生き残り、成功するための本質的な知恵が詰まった一冊として、ぜひ手に取ってみることをお勧めします。

本の重要ポイント
  1. 投資の成功は知識や技術よりも「平常心」にある
  2. 相場は人間心理の集合体であり、その理解が重要
  3. 銘柄選定は厳格な基準で行い、厳選された企業に集中する
  4. リスク管理と資産配分が長期的な成功を左右する
  5. 時間の複利を味方につけた長期投資が最強の戦略