権藤悠氏は、株式会社キーメッセージ代表取締役社長で、1989年広島県生まれです。
慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業後、ITベンチャー企業にて人事、IT新規事業開発を経験しました。
現在は「世界の解像度を高める」をミッションに掲げ、組織人事DX支援・営業代行支援・PMI支援・オンラインアカデミー事業を展開しています。
本書は思考力向上のための実践的ドリル集です。
「ちゃんと考える」の正体は「具体と抽象」であり、頭のいい人は頭の中にピラミッドツリーがあるという独自の視点から、思考の構造化を図る内容となっています。
「ちゃんと考えていない人」の頭の中は実に平面的で、だだっ広い草原に文字情報が散らばっている感じと表現されています。
一方、頭がいい人の頭の中は、ピラミッドをイメージしているとし、この構造的思考の違いが問題解決能力の差を生み出すと分析しています。
「具体↔抽象思考」は、具体と抽象を行き来する思考法で、解決したい状況や伝える相手に応じて何が大切なのかを見極め、ピントを合わせる技術です。
この思考法を身につけることで、あらゆる人とのコミュニケーションが円滑になる効果が期待できます。
具体化思考の基礎力を鍛える
第1章では具体化思考ドリルとして、「一言で言うと何だろう?」といった基礎的なものから、「生物と技術の共通点を見出せるか?」という高度な問題まで扱われています。
具体化思考は抽象的な概念を具体的な事例に落とし込む能力です。
・抽象概念の具体化
・共通点の発見
・本質の理解
・発言の真意の解読
「クイズ!なぞかけ王への道」では言葉の魔法を使う技術が紹介され、「上司の発言が朝令暮改」といった職場での実践的な場面も取り上げられています。
抽象化思考で本質を見抜く
第2章では抽象化思考に焦点を当て、個別の事象から共通パターンや法則を見出す能力を養います。
・具体的事例から一般化
・パターン認識
・本質の抽出
・上位概念の理解
この章では実際のビジネスシーンや日常生活での問題を通じて、抽象化思考の実践的な使い方が学べます。
複数の具体例から共通する要素を見つけ出し、より高次の視点で物事を捉える力が身につきます。
具体⇄抽象の往復運動をマスター
第3章では具体⇔抽象ドリルとして、「自分を客観視できるか?」「自称『頼れる先輩』が、実は『ウザい』と噂されて…」といった実践的な問題が出題されています。
思考の柔軟性向上
状況に応じた視点の切り替え
客観的な自己分析
相手の立場に立った考察
具体と抽象を行き来する思考は、問題解決において最も重要なスキルの一つです。
62問の問題を通じて、この高度な思考技術を体系的に習得できます。
実践的な問題解決への応用
本書には62問の問題が収録されており、イラスト付きの解説でわかりやすく構成されています。
1ページ目からすっと入りやすいので、どんどん読み進められる設計になっています。
基礎レベル(★1):日常的な具体化・抽象化
応用レベル(★3):創造的な思考を要する問題
上級レベル(★4):高度な分析力が必要な問題
つかみどころが難しい具体抽象をクイズ形式で学べる点が、本書の大きな特徴です。
理論的な説明だけでなく、実際に手を動かして考えることで、思考力が確実に向上します。
まとめ
本書は思考力向上を目指す全ての人にとって価値ある一冊です。
頭のいい人の頭の中にあるピラミッドツリーを自分の中に構築するための具体的な方法論が示されています。
具体↔抽象思考の4つの思考法を習得することで、コミュニケーション能力の向上はもちろん、問題解決能力や創造性の向上も期待できます。
クイズ形式で楽しみながら学べる構成は、継続学習にも適しています。
ビジネスパーソンから学生まで、幅広い読者層に推奨できる実践的な思考力向上書として、高く評価できる内容です。