三宅香帆は1994年生まれの文芸評論家で、京都市立芸術大学非常勤講師を務めています。
京都大学大学院博士前期課程修了後、書評家として活動し、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で16万部を突破するなど話題の著書を多数執筆しています。
本書はアイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。
発売からわずか数か月で12万部を突破し、全国主要書店の新書ランキングで1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいる注目作です。
推しについて語りたいけれど「やばい!」「最高!」以外の言葉が出てこない悩みを持つ現代人に向けて、感動を的確に言語化する具体的な技術を提供します。

言語化の壁を乗り越える
現代のSNS時代において、多くの人が感じる共通の悩みがあります。
とてつもない感動を前にしたとき、人は言葉を失う。しかし、同時に、「この感動を誰かに伝えたい!」とも思うという現象です。
この矛盾した感情について、手に余る大きな大きな感情を、それでも無理矢理言葉にしようとした結果、私たちは「やばい」「最高」を連呼するだけの生き物になってしまうと著者は分析しています。
共感を呼ぶタイトルの背景
サブタイトルの「推しの素晴らしさを語りたいのに『やばい!』しかでてこない」は、多くの読者の心に刺さる表現です。
感想を伝える時に「ヤバい、面白い、考えさせられる」これらの言葉をついつい使っている人は少なくありません。

書評家の実践的ノウハウ
本書の特徴は、理論的な解説にとどまらず、実際に書評家として活動してきた経験から導き出された実践的な手法を提供していることです。
専門家による文章技術の応用
アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた内容となっています。
単なる一般論ではなく、プロフェッショナルの視点から構築されたメソッドが魅力です。
読者の反応と評価
月間240万PVの最高値をたたき出し、はてなブログ内で6位の登録者数を誇るかんそう氏のような著名ブロガーからも高い評価を受けています。
同氏は読後感想で「10年前の自分に平手打ちをして、この本が溶けるまで読ませたい」とまで述べており、その実用性の高さが伺えます。
3. 推し活世代への実用的指南
現代の推し活文化に対応した内容構成も本書の大きな特徴です。
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味まで、幅広いジャンルの「推し」に対応しています。
多様な推し活に対応
本書では以下のような多岐にわたる推し活を対象としています:
- エンターテイメント系:アニメ、映画、舞台、コンサート
- 人物系:アイドル、声優、バンド、YouTuber
- 趣味系:スポーツ、釣り、その他の趣味全般
SNS時代の発信力向上
SNS発信が日常的になった現代において、自分の感動を適切に表現し、他者と共有する技術は必要不可欠です。
本書はそのスキルを体系的に身に付けることができる構成となっています。
言語化がもたらす効果
自分の好きなものについて語ることは、自分自身への理解を深めることだ。
推しについて語ることは、自分の人生の素晴らしさを再発見することにつながると著者は述べています。
自己理解の深化
単に推しを語るだけでなく、その過程で自分自身の価値観や感性を客観視できるようになります。
言語化のプロセスは自己分析の手法としても機能するのです。
コミュニケーション力の向上
適切な言語化技術を身に付けることで、推し活仲間との交流がより深まります。
「やばい」「最高」だけでは伝わらない微細な感動のニュアンスを共有できるようになります。
5. 読者への実践的価値
本書は単なる読み物ではなく、実際に使える技術書として設計されています。
著者はそんな私たちの気持ちを汲みながら、この「言葉にできない感動」を言語化する方法を丁寧に示してくれる構成となっています。
段階的な学習プロセス
理論から実践まで、読者が無理なく技術を習得できるよう配慮された構成です。
初心者でも取り組みやすい内容から始まり、徐々に高度な表現技法へと導かれます。
即効性のある実用書
『「好き」を言語化できたら10倍楽しい!』をメインメッセージとして掲げられているように、読者の推し活体験を劇的に向上させることを目指しています。
まとめ
本書は推し活世代の悩みに寄り添いながら、プロの書評家が培った技術を惜しみなく公開した実践的な指南書です。
東京メトロ車内での広告展開や各種ランキング1位獲得など、その話題性と実用性が広く認められています。
「やばい」「最高」以外の表現を身に付けたい人、推しへの愛を的確に言語化したい人、そして自分の感動を他者と深く共有したい人にとって、本書は必読の一冊といえるでしょう。
言語化技術の習得を通じて、推し活がより豊かで充実した体験となることが期待できます。
