人生観・生き方

がんになってわかったお金と人生の本質

山崎元氏は、日本を代表するファイナンシャルプランナー・経済評論家として知られています。

マネー・金融分野での第一人者である著者が、61歳で大腸がんを患った経験から得た気づきをまとめたのが本書「がんになってわかったお金と人生の本質」です。

2019年に刊行されたこの作品は、著者自身の闘病体験と金融の専門知識を融合させ、病気になった時のお金の問題と人生の本質について深く掘り下げています。

投資や資産形成の話にとどまらず、命の危機に直面した時に見えてくる本当の幸せとは何かを問いかける一冊となっています。

著:山崎 元
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突然の「がん宣告」が教えてくれたこと

著者を襲った大腸がんという現実

著者は2019年1月、大腸がんのステージ3と診断されます。

それまで健康診断で異常を指摘されたことのなかった著者にとって、この宣告は晴天の霹靂でした。

手術と抗がん剤治療を経験する中で、著者は「お金の専門家」としての視点と「がん患者」としての視点を持つことになります。

健康と命の価値を再認識する機会

がんという病気に直面し、著者は改めて健康の大切さを痛感します。

どれだけお金があっても、健康を買い戻すことはできません。

一方で、質の高い医療を受けるためには、一定の経済力も必要です。

著者はこの経験から、健康とお金は別物でありながらも、相互に補完し合う関係にあることを強調しています。

医療費と保険の現実的な考え方

がん治療にかかる実際の費用

著者は自身の治療費の実例を具体的に示しています。

大腸がんの手術と約半年間の抗がん剤治療で、総額約500万円の医療費がかかりました。

しかし、高額療養費制度により実際の自己負担額は約100万円程度に抑えられたとのことです。

この経験から、著者は日本の医療保険制度の充実ぶりを再評価しています。

医療保険の選び方と注意点

著者は金融の専門家として、医療保険の選び方についても言及しています。

  • 必要以上に高額な保険に加入する必要はない
  • 貯蓄型より掛け捨て型の方が合理的なケースが多い
  • 特約の付け過ぎに注意する
  • 「がん保険」より「医療保険」の方が汎用性が高い

日本の公的医療保険制度が充実している中で、過剰な民間保険への加入はむしろ家計を圧迫するリスクがあると指摘しています。

お金の真の価値とは何か

命の危機から見えてきた「お金の本質」

著者は、がんと診断されたことで「お金の本質」について改めて考えるようになりました。

お金は「選択肢を増やすための道具」であり、それ自体が目的ではないと述べています。

病気になった時に良い治療を受けられる、家族に負担をかけない、そのための備えとしてのお金の重要性を説いています。

資産形成の考え方の転換

本書では、著者ががんを経験したことで変化した資産形成の考え方も紹介されています。

  • 短期的な利益よりも長期的な安定性を重視する
  • リスク許容度は健康状態によっても変化する
  • 投資の目的を明確にすることの大切さ
  • 「今を生きる」ことと「将来への備え」のバランス

がんという経験を通して、著者は投資においても「攻め」より「守り」の姿勢を重視するようになったと語っています。

人間関係と時間の大切さ

病気になって気づいた人間関係の価値

著者は闘病中、多くの人々からの支援を受けました。

その経験から、お金では買えない人間関係の価値について語っています。

特に家族の存在や友人のサポートが、治療を乗り越える大きな力になったと述べています。

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限りある時間をどう使うか

がんという病気は、著者に「残された時間」について真剣に考えるきっかけを与えました。

時間の使い方
  • 「やりたいこと」を先送りにしない
  • 日々の小さな幸せを大切にする
  • 自分にとって本当に大切な人との時間を優先する
  • 「働き方」を見直す機会にする

著者は、病気になったからこそ見えてきた「時間の価値」について読者に問いかけています。

これからの人生設計と幸福のあり方

「何のために稼ぐのか」を問い直す

著者は金融の専門家として長年、資産形成や投資について助言してきました。

しかし、がん罹患という経験を通して、「お金を増やす目的は何か」という根本的な問いの重要性を再認識しています。

本書では、お金は「幸せになるための手段」であって目的ではないことが繰り返し強調されています。

真の豊かさとは何か

最終的に著者が到達した結論は、真の豊かさとは物質的な富だけではなく、以下のような要素から成り立つというものです。

  • 健康であること
  • 大切な人との関係
  • 自分の時間をコントロールできること
  • 心の平安
  • 他者への貢献

これらはお金だけでは得られないものであり、がんという経験を通して著者が見出した「人生の本質」です。

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本書のポイント

命の危機に直面した著者だからこそ語れる「お金と人生の本質」に関する深い洞察に満ちています。

健康なうちから「本当の豊かさとは何か」を考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

本書のポイント
  • 健康とお金は密接に関連しているが、健康の方が圧倒的に重要
  • 日本の公的医療保険制度は充実しており、過剰な民間保険は不要
  • お金は「選択肢を増やすための道具」であり、それ自体が目的ではない
  • 病気になって初めて気づく、人間関係や時間の価値がある
  • 真の豊かさとは、物質的な富だけでなく、健康・人間関係・時間の自由などから成り立つ